今日は午前のみの外来でした。
手術の申し込みは、白内障2人、黄斑上膜の眼瞼下垂1人、硝子体手術1人、霰粒腫 4人(2歳女の子、4歳女の子、20歳女性、50歳女性)でした。
関西地方の知人の先生に相談があり、久しぶりに連絡を取らせていただいたのですが、とても親身に相談に乗ってくださり、本当にありがたかったです。
その先生とはちょとした縁で病院見学をさせていただいたのと、学会と今まで2回しか会ったことがないのですが、僕にとっては尊敬する眼科医の一人です。
白内障手術の学会の雑誌で“先輩からのメッセージ“というコーナーがあるのですが、その先生が寄稿された文章がとても心に残っています。
その内容野一つは、『若い頃は、白内障の手術を何件やっているとか、何分で手術できたとかそういうことを同じ年代の先生と比べて一喜一憂してしまうが、そんなことは本当はどうでもいいことだ』ということでした。本当にそう思います。件数が多いとか少ないとか、そんなことはどうでもよく、目の前の患者さん一人一人を大切に一生懸命に手術するだけだと思います。時間も早く終わるに越したことはないですが、まずは何より無事に手術を終えることが第一で、時間は結果的なことだと思っています。手術は少しでも早く終わらせようと思うことが目的になってはいけないと思って僕は手術しています。
それから、ネパールやアフリカで白内障の手術をする海外ボランティアのことも書かれており、『ボランティアは“与えること”だと思っていたけれど、実際は“与えられること”だった』と書かれていました。僕もちょっとだけ海外でのボランティアや視覚障害のスポーツ関連のお手伝いをしていますが、最初は、意気込んで何かしてあげるつもりで参加したものの、自分のできることの小ささと、現地の人や障害者の方々から教えられることばかりで、まさに“与えられて”帰ってきました。僕もボランティアって本当のところよく分からないですが、『なぜボランティアに行くのですか?』と聞かれると、本当によく分からず、ただ行きたいと思うからという答えになってしまいます。きっと“与えられる”ことが大きいと感じるからなのだと思います。
そして、もう一つ、後輩の若手の先生のエピソードで、全身麻酔での両眼の白内障手術のことが書かれていて、無事に手術が終わった後、まずはご家族にそのことを伝え、次に麻酔科の先生やスタッフにお礼を伝え、患者さんを病室に送り届けた後、最後に指導してくださった先生のところに手術のことを聞きにきたそうです。当たり前のように思うかもしれませんが、白内障の手術を始めたばかりの頃は、自分の手術の出来が気になってしまうものです。でも、本当は一番気にしないといけないことは、患者さんやご家族のこと、そして、周りのスタッフへの感謝です。患者さんがいなければ手術もできないですし、スタッフの協力があってこそ、手術ができている訳です。そのことが分からなくて、自分の手術がああだこうだ話すのは、意味がないとまでは言えませんが、もっと大事なことが分からないとよい手術はできないと僕は思います。
この文章にとても感銘を受けたと先生に伝えたところ、『自分への戒めとして書きました』なんておっしゃっていましたが、後輩がそんな素晴らしい対応ができるのは、きっと、言葉で教えられたのではなく、先生の姿を見て学んでいるんだと想像しました。そういう先生の元で学べる若い先生はとても幸せなことだと思います。でも、そういう先生と知り合えた僕も幸せだと思っています。出会に感謝です。どうもありがとうございますm(_ _)m
今週も皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m