今日は午前のみの外来で、手術の申し込みは、霰粒腫1人(3歳男の子)でした。
今日の外来では、水曜日に両眼の白内障の手術をさせていただいた70代の男性の方の術後3日目の診察がありました。レンズもきれいに入っており、炎症もほとんどなく、経過は良好でした。ただ、この方は、認知症が進んでしまい、意思の疎通も困難な状態で、視力検査もできません。でも、手術の前よりはいくぶん、動作が軽やかな感じもあり、奥様からは『前はごはんを食べていて、ポロッと落としてもそのままだったけれど、手術をした後は、こぼしたら拾ってるから前より見えているみたい』と教えてくださいました。そして、『どこも手術を引き受けてくれなくて、ここに来て手術をしてくれて本当によかったです。先生も大変だったでしょうが、ありがとうございます。』と涙を流して言ってくださいました。探せば僕のところ以外でも引き受けてださる先生もいたと思いますし、僕自身はまったく大変ではありませんでしたが、手術ができたのは、意思の疎通が困難でもできる検査を行ってくれた検査員や手術の時に点滴を入れ側で見守ってくれた看護師たち、そして、色々探して僕のところに受診に連れてきてくださったご家族の皆さんと、何より分からないながらもじっと大人しく手術を受けてくださったご本人のおかげだと思っています。
認知症の進んだ人の手術は、ご家族にも医療者側にも色んな考えがあり、正解は一つではないと思いますが、少しでも見え方がよくなることが本人にプラスになると思えれば、手術する意味は絶対にあると思いますし、いつも側にいるご家族が、本人の気持ちを考え、手術をして欲しいという希望があれば、少しでも叶えられるようにしたいと思っています。
本人もちょっとは見えるようになってよかったと思いますし、ご家族もできることはしたと思ってもらえるといいなと思います。
今週も皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m