今日は午前のみの外来で、手術の申し込みは、白内障3人と眼内レンズ入れ換え1人でした。
今日、白内障術後の不具合で受診された60代半ばの女性の方は、他院で今年の7月に多焦点レンズ(パンオプティクス)を使った白内障手術を受け、術後から『チラチラする』『近くが滲んで見えにくい』『霞む』といった多焦点レンズ特有の副症状に加え、『上下左右を見るとダブって見える』という“複視”の症状が辛くなんとかできないかといらっしゃいました。
物がダブる、二重に見える複視症状ですが、片眼でも症状が出る“単眼複視”と片眼ずつなら大丈夫で両眼で見るときのみ症状が出る“両眼複視”とがあり、単眼複視の場合は、乱視など、眼そのものに原因があることが多く、両眼複視の場合は、いわゆる斜視のような眼位異常や眼球運動異常など眼の位置や動きの左右のバランスの異常が原因となることが多いかと思います。この患者さんも片眼を瞑ると複視は出ないということで、両眼複視でしたが、眼位は正常で斜視はなく、眼球の動きも正常で、明らかな眼球運動障害もなく、はっきりとした原因は分かりませんでした。
あくまで推論になってしまいますが、多焦点レンズの入った眼で硝子体手術をする時に、眼球を傾けると、眼の奥は像がブレるような見えにくさが出るので、患者さんの見え方としても、多焦点レンズの入った眼で端の方を見ようとすると、ブレが出やすく、それが左右で均等でない場合に、両眼複視が出る可能性があるかもしれないと考えました。
これが原因であれば、単焦点レンズへ入れ換えれば、よくなる可能性はあるかと思いますが、本当の原因かは分からないので、確実なことは言えないのですが、少しでもよくなる可能性があればということと、他にも多焦点レンズの気になる副症状があるので、元々、術前はよく見えていた近くにピントを合わせた単焦点レンズへ入れ換えたいとご希望をいただき、入れ換えの方向で進めることとさせていただきました。
手術を受けてから、それまでできていた日常生活が送れなくなってしまったとおっしゃっていたので、少しでも普通の生活に戻れるようにできるといいなと思います。
今週も皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m