今日は午前のみの外来で、手術の申し込みは、白内障3人、眼瞼下垂3人、霰粒腫1人(8歳男の子)、ICL1人、IOL位置修正1人でした。
今日、白内障の術後の相談でいらした70代半ばの女性の方は、他院で10月に左眼の白内障の手術を受け、乱視が残ってしまい、乱視用のレンズに入れ換えたものの、近視が残ってしまい、遠方の見えにくさに困ってしまい、当院にいらっしゃいました。
遠方の裸眼視力は0.7で、そんなに悪くはなさそうでしたが、-1D程度の近視があり、確かに遠方の見えにくさはあるのかなと思いました。レンズの入れ換えの時にレンズを入れる水晶体嚢の前面の一部に亀裂が入っており、その部分がちょうどレンズの支えの位置と一致しており、軽度ですがレンズの傾きがあり、片方のレンズの支えが水晶体嚢の中に入っていない可能性が考えられました。傾く場合、本来よりも前方に傾きますが、眼内レンズの位置は前の方に来れば来るほど、近視の値が強くなります。なので、この方のように、レンズの傾きがあり、屈折がマイナス寄りにズレている場合、単に眼内レンズの度数がズレたのか、レンズの傾き(位置)の影響が大きいのかがはっきりしないことがあります。近視ズレを改善するために、今入っているレンズも度数からズレを考慮して新たな度数のレンズを入れ換え、きちんとした位置に入れ直した場合、度数をズラした分と、レンズの位置が適切(嚢内)になった分とで、今度は逆に遠視側にズレてしまう場合があります。なので、レンズの入れ換えをするよりは、まずはレンズの位置をきちんと嚢内に固定するような処置(手術)を予定させていただきました。ただ、このような手術は実際に眼の中に入ってみないと、状況は確認できませんし、やっぱりレンズの支えが嚢の外に出ていたとして、それをきちんと嚢内に入れ直したとしても、この方の場合、角膜乱視がありトーリックレンズを使う必要があり、トーリックレンズでは角膜乱視の軸に合わせなければならず固定する位置がある程度、制限されるため、良好な固定が得られない可能性もあります。そのような場合は、眼内レンズでの乱視矯正は諦め、ノントーリックのレンズで嚢内に入るように入れ換え、もし乱視の影響が強ければ、それアドオンレンズかレーシック(最初からレーシックでもよいかもしれませんが)で矯正する方向で考えましょうとお話しさせていただきました。
近視ズレがあった場合、レンズがきれいに入っているか(きれいに入っている場合がほとんどだとは思いますが)、傾きがあるかで、その後の対応が異なり、注意が必要です。
今週も皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m