院長ブログ

PE

今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障5人と眼瞼下垂1人でした。
今日の手術は、白内障12件、黄斑上膜の硝子体手術1件、眼内レンズ交換1件でした。

今日、白内障の手術のご予約をいただいた80代の男性の方は、眼の所見として、やや進んだ白内障に加え、PEとかなりの浅前房が見られました。PEというのはpseudoexfoliation syndromeの略で日本語では偽落屑症候群(ぎらくせつしょうこうぐん)と呼ばれ、水晶体の表面や瞳孔(虹彩)などの眼の組織に白いフケ状物質が付着する状態です。直接見ることはできないのですが、PEのフケ状物質は水晶体の支えであるチン小帯にも付着することがあり、チン小帯が脆弱な場合があります。この方の場合、前房が浅いというかほとんどなく、おそらくチン小帯がかなり弱く、水晶体が前方に(角膜側に)亜脱臼してしまっている状態と思われました。そのため、手術では、水晶体の濁りが硝子体中に落下してしまったり、水晶体嚢が残せずに、硝子体手術や強膜内固定が必要になり、手術の時間が長くなってしまうことや、2回に分けて行う必要が出てきてしまう可能性もある程度あるかと思われました(一見、普通の白内障の方でもこうなる可能性は僅かですが誰にでもありますが)。また、幸いにも水晶体嚢がきれいに残せて一度でレンズが入れられたとしても、通常の白内障手術のように5分くらいでは終われないと思いますし、手術の侵襲が強くかかる可能性も高いので、術後の視機能が回復して視力がよくなるのにはしばらく時間がかかると予想されました。また、眼圧の上昇はないものの、隅角がだいぶ閉じてしまっており、いつ急性緑内障発作を起こしてもおかしくない状況でしたので、早めに来週の手術で予定させていただきました。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

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