今日は一日外来で、手術の申し込みは、白内障7人、霰粒腫2人(3歳女の子2人)、黄斑上膜の硝子体手術2人、アドオンレンズ1人でした。
今日は外来で糖尿病網膜症に対し、レーザー治療中の患者さんの診療がありました。糖尿病網膜症は血糖値が高いことで血管が悪くなり、眼底出血や網膜の浮腫を起こし、更に進行すると、血管の閉塞が起こり網膜が虚血状態に陥り、新たに血管を作ろうとする血管内皮増殖因子(VEGF)が産生されることで、弱くて脆い新生血管や異常な膜組織(増殖膜)で作られ、眼の中への大出血(硝子体出血)や難治性の緑内障、網膜剥離など、結果的に眼にとって悪い反応が起こってきてしまう病態です。この悪い反応を抑えるために、網膜の虚血がみられれば、レーザーで視力に関わらない網膜を焼灼し、相対的に虚血状態を改善し、VEGFの産生を抑えるために、レーザー治療を行います(血流をよくすることはできなくとも網膜を焼いて間引いてしまえば、血流が少なくとも問題ないとなる訳です)。
このレーザー治療も大事なのですが、もう一つ大切なことは、当たり前ですが、内科的な治療で血糖値を改善させることです。ただ、気をつけなければならないことは、急激に血糖値を下げ過ぎると、網膜症が悪化してしまうことで、下げるスピードはせいぜい月に1くらいにすべきとされています。今日、レーザーした方は、昨年10月の採決でHbA1cが15.2だったのが、『血糖値はだいぶよくなって6.9になりました』ということで、4か月でHbA1cが約8も下がっており、下げ方がちょっと急過ぎるかもしれないと話をしたところ、診察の後、レーザーの治療を待っている間に『急に上半分が見えなくなりました』とおっしゃるので、見てみると、網膜の上に出血(網膜前出血)を起こしてしまっていました。
血糖値が高いと心配になり、なるべく早く血糖値を下げたいと焦ってしまうかもしれませんが、それがかえって悪い影響を及ぼしてしまうこともありますので、内科の先生もご存知だとは思いますが、患者さんも知識として知っておいた方がよいかと思います。
今日は学会明けの診療で、外来がだいぶ混雑してしまい、申し訳ありませんでした。患者さんから受付でクレームもいただいたようですが、『先生は一生懸命やっているんだから、お前たちももっと一生懸命やれ、患者の身にもなってみろ』という内容だったそうです。僕が一生懸命やっていると感じてくださっているのはありがたいことですが、スタッフの皆んなも一生懸命やってくれています。今日は朝の8時半から診療を開始して午前の患者さんを診終えたのが14時過ぎ、午後の診療が全て終わったのは21時過ぎでした。好き好んで朝の8時から夜の9時まで職場にいたいなんて思いません。一生懸命できる人でなければ、こんなクリニックでは働けないと思います。一生懸命やっている人に一生懸命やれというのはあまりにもひどいと思いました。それから、そのクレームを受けたスタッフは、日頃、診療が長引いて、帰るのが遅くなってしまった時に僕が謝ると、『私は患者さんが好きだからいいんです』と言ってくれるような人です。待ち時間が長いのは患者さんが多いからで、それを改善するには、患者さんを断るしかありません。患者さんだけでなく、スタッフだって早く帰りたいと思うのは当然だと思いますが、それでも、少しでも断らなくて済むように、困っている患者さんを受け入れられるように、皆んな努力して頑張ってくれています。そういうスタッフたちに支えられ、僕はこのクリニックで診療ができています。このクリニックで起こることの責任は全て僕にあると思っています。なので、もし何かあれば、スタッフにではなく、直接、僕におっしゃっていただければと思います。
こちらに直すべき点があれば、直さないといけないですし、言っていただけることはありがたいことですが、今回の件に関しては、スタッフが悪い訳では決してありませんでしたので、ご理解いただきたく、書かせていただきました。どうかよろしくお願いいたします。