院長ブログ

YAGでよいか問題

今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障3人、眼瞼下垂2人、アドオンレンズ1人でした。
今日の手術は、白内障14件(iStent併用1件)と黄斑上膜の硝子体手術1件でした。

今日、受診された60代前半の女性の方は約2年前に他院で多焦点レンズ(インテンシティ)を使った白内障手術を受けたものの、見えにくさがあり、術後1か月で単焦点レンズ(アイハンス)に入れ換えたそうです。入れ換え直後はよく見えていたそうですが、また見えにくくなってきたため、今回、受診されたそうです。視力は両眼とも矯正で1.0出ているので、そんなに悪くはなさそうで、軽度の後発白内障が影響しているようでした。なので、後発白内障を取り除くYAGレーザーでの後嚢切開をしてあげるとよさそうでしたが、ご本人が眼内レンズの入れ換えも考えているということで、後嚢切開をしてしまうと、レンズの入れ換えが難しくなってしまうので、慎重に考える必要があります。後発白内障もあるけれど、レンズも入れ換えなければならない状況では、後嚢切開の前にレンズの入れ換えをすべきです。しかし、この方の場合、レンズそのものに明らかな問題があるようにも思えず、まずはやっぱり後嚢切開をして、それで改善が得られる可能性も十分あると思われましたので、YAGレーザーを予定させていただきました。ただ、見え方が改善しない場合、レンズの入れ換えをする可能性もゼロではないというところで、YAGレーザーの後嚢切開は、最初、小さめに丸く開け、それで改善兆候が得られれば、その後に追加で拡げてあげればよく、もし改善せずに入れ換えをするとなっても、絶対できるということではないですが、なんとか入れ換えができるようにYAGレーザーをさせていただく方針としました。

先日の手術学会の多焦点レンズのセッションでも、演者の先生の症例検討で、多焦点レンズを入れて、術直後はよかったけれど、少ししたら急激に視力が下がり、乱視も強く、後発白内障は軽度でどうするか迷ったけれど、YAGレーザーをしたら改善したというお話があり、フロアからの質問で『こういう時は、そんな迷わずYAGレーザーをすれば、後発白内障が原因かどうか分かるでしょう?』と質問というか意見された先生がいましたが、それはそうなのですが、後発白内障が原因でなく、特に多焦点レンズの場合は、多焦点レンズが合わないことが原因で単焦点レンズへの入れ換えをしなければならない可能性があり、簡単にYAGレーザーをしにくいということが、奥深い悩みで症例提示のポイントだと思いました。多焦点レンズではYAGレーザーの判断が難しいということでしたが、僕は多焦点レンズだけでなく、単焦点レンズでも同様で、見えにくさの原因がレンズにあるのか、後発白内障なだけなのかは慎重に考えなければならないですし、もし悩ましいけれど、まずはYAGレーザーの治療をという時は、後嚢の切開の仕方は工夫が必要かと思っています。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

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