今月のタウンニュース青葉区版の『目のお悩みQ&A』は『眼圧が正常値でも緑内障になるのですか?』という質問に対する回答で眼圧の正常値と緑内障の関係について書きました。
https://www.townnews.co.jp/0101/2020/08/27/539571.html
タウンニュースでは約550文字という制限があるため、なるべく簡潔にかつ分かりやすく書く必要があり、限られた文字数で伝えるのって難しい!と思いながら考えて書いています。
文字制限があるのは制約ではありますが、より短い文章で伝わるに越したことはなく、簡潔な内容で伝えるのは難しいけれど大事なことだと思います。
(ブログですと制限がないので無駄に長くなっているかもしれません、、、)
とは言うもののより詳しく知りたい方もいらっしゃると思いますので、眼圧の正常値の意義と緑内障について補足してみます。
健康診断の眼圧測定で眼圧の値が高かったり(眼圧高値)、眼底カメラの検査で視神経乳頭陥凹拡大や神経繊維層欠損(NFLD)といった異常で受診される患者さまで疑われるのが緑内障です。
緑内障は眼圧が高いことによって眼の神経(視神経)傷害され、視野が欠けてきてしまう病気です。
眼圧とは眼の硬さのことで、その正常値は10〜21mmHgとされています。
(たまに聞かれますが、血圧とは全く関係ありません)
この『正常値』というのがちょっとややこしいのですが、これは単に『日本人の95%がこの範囲に入ってきますよ』という値です。
なので、だいたいの方の眼圧はこの範囲に入る『正常値』な訳ですが、『この範囲に入っていれば大丈夫ですよ』ということでは全くありません。
10から21というのはその差は11ですが、別の見方をすると倍ある訳です。
例えば体重でいうと、日本人の多くは50〜100kgの範囲に入ってきますよといっているような感じです。
体重は人(身長)によって適正値が異なり、身長が高い人は体重が100kgでも大丈夫なこともあれば、身長が低い人は50kgでもダメな人もいるかと思います。
眼圧もそれと似たイメージで視神経が強い人は眼圧が21以上でも大丈夫なこともありますし(もちろん高い方がよくない可能性は高くなりますが、、、)、視神経が弱い人は眼圧が10とか15とか正常値にはいっていても神経が弱ってしましい緑内障が出てきてしまうことがあります。
その眼圧が正常範囲に入っているのに緑内障がでてきてしまうタイプは『正常眼圧緑内障』と呼ばれますが、日本人ではこのタイプが一番多いとされています。
なので、眼圧の値だけで『大丈夫』か『ダメ』かは言えませんが、診察で視神経の所見をみて、必要があれば視野検査(光の明るさや大きさを変えて反応をみる検査)やOCT検査(神経の凹みや網膜の厚さを測定する検査)で緑内障かどうかを判定し、もし、緑内障と診断されれば目薬で眼圧を下げる治療を行っていくようになります。
『眼圧をどこまで下げるか』というのもある程度の目安もありますが、個人差があり、その人にとって適正な値まで下げる必要があります。
その値はというと『視野障害の悪化が抑えられる』程度の眼圧値となります。
それはすぐには分からないのですが、眼圧を下げる目薬を使いながら定期的に視野検査を行い、視野の悪化がなくなる眼圧の値を探していくことになります。
1つの点眼で目標の眼圧が得られることもあれば、目薬の種類を変えたり何種類か使わないといけないこともあります。
目薬を何種類も使っても視野の悪化を抑えられない場合は外科的な方法(手術)で眼圧を下げなければならなくなります。(長くなってしまったので緑内障の手術についてはまた改めて書きたいと思います。)
眼圧についてはなかなか分かりにくい部分もあり、説明に苦労することもありますが、この文章でご理解いただけたでしょうか?
少しでも参考になればうれしいですm(_ _)m