この秋より新しい多焦点眼内レンズが使えるようになりました。
日本アルコン社から発売された『PanOptix パンオプティクス』というレンズです。
何が新しいかというと、国内で使用が承認された、つまり『先進医療で使用できる初めての3焦点』眼内レンズというところです。
今まで国内で承認されていた多焦点眼内レンズは焦点が2つの『2焦点眼内レンズ』でした。焦点が2ヶ所で遠方と近方が見やすいレンズもしくは遠方から中間が見やすいレンズの2タイプがありましたが、2焦点だとどうしても1つのレンズで見えにくい距離が出てしまいます。そのため、1種類のレンズで少し度数の差をつけたり(マイクロモノビジョン)、2種類のレンズを組み合わせて使う(ブレンドモノビジョン)などの方法でより広い範囲が見やすくなるように工夫していました。
単焦点眼内レンズの見え方のイメージ
2焦点眼内レンズの見え方のイメージ
また、3焦点眼内レンズを使うこと自体は可能でしたが、その場合には、代理店を通して国外から輸入して使うことになり、治療は自費診療で先進医療の適応にならないことと、直前で度数の変更が難しかったり、手術をやっぱりやらないとなるとキャンセル料がかかってしまうなどのデメリットがありました。
先進医療の適応となったことと、国内の業者さから販売されるのでキャンセルや度数の変更が負担なくできるようになり、とても使いやすくなったと思います。
重要な見え方ですが、実際に使った感触では、設計通り、遠方、中間、近方と良好な視力を得ることができ、とてもよいレンズと感じています。
遠方、中間、近方と色々な距離をよく見る必要や希望があり、両眼とも同じ種類のレンズを入れたい方には第一選択になると思います。
3焦点眼内レンズの見え方のイメージ
ただ、2焦点レンズに比べ、レンズの価格が高いため、10万円ほど手術費用が高くなり、自費診療の方には経済的な負担が多くなってしまうことと、若干、ハローグレアが出やすいところがデメリットかと思います。
どのレンズも強いところと弱いところがあり、一概によい悪いというものではありません。いつでも大事なことは手術を受けられる患者さまにとって一番合うレンズを選ぶことだと思っています。それはどんなレンズが出てきても変わらないことだと考えています。
眼内レンズについては術前になるべく詳しく説明をしようと思っていますので、少しでもレンズの特徴をご理解いただき、よく相談して使うレンズを決めたいと思っています。
当院のホームページに眼内レンズの情報が少なくて申し訳ありませんが、今後、レンズの説明を充実させたいと思っていますので、少々お待ち下さい。
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