当院受診理由で多いものの一つに『健康診断の眼底検査(眼底カメラ)で視神経乳頭陥凹拡大といわれた』というのがあります。
眼の内側は『網膜』という光を感じる細胞からなる薄い膜があります。
その網膜が中心に集まって視神経を作り、脳へとつながっています。
眼底(眼の中)を見ると、網膜が視神経を作る始まりの部分は丸く見え、『視神経乳頭』と呼ばれます。
そして、その視神経乳頭の内側はくぼんだ部分が『視神経乳頭陥凹』です。
通常は視神経乳頭の大きさに占める陥凹部の大きさ(『CD比』といいます)が40〜60%です。
CD比が60%を超えて陥凹部が大きくなってみえると『視神経乳頭陥凹拡大』という状態になります。
では、この視神経乳頭の陥凹が大きくなった状態は何を意味するのでしょうか?
答えは『緑内障の疑いがある』ということです。
緑内障は眼圧が高いことによって、視神経に負担がかかり視野が欠けてくる病気です。
視神経に障害が出てくると、視神経がやせ細り、視神経乳頭のくぼみが大きくなって見えるという訳です。
視神経乳頭陥凹が大きいと必ず緑内障があるとはいえず、視野検査や網膜の厚さを測定する検査などを行い、緑内障かどうかを総合的に判断することになります。
緑内障は日本人の失明原因の1番多い原因となっています。
しかし、早期にみつけ、治療をすることで、失明どころか、症状すら自覚することなく過ごすことができる病気でもあります。
健康診断で異常を指摘されても、『症状も無いし』と精密検査を受けられない方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、症状が出にくい病気や症状が出ないうちの早期の段階で病気をみつけることが健康診断の意義だと思います。ですので、眼科に限らず、健康診断で異常を指摘された方はどうか精密検査を受けていたければと思います。
眼底検査の異常は『視神経乳頭陥凹拡大』だけでなく、『神経線維層欠損』『Scheie分類H〜S〜』『網脈絡膜萎縮』『ドルーゼン』など聞きなれない言葉が多いと思います。
要精密検査の方はもちろんですが、そうでなくてもご心配なことがありましたら、どうぞご相談ください。