翼状片
結膜は白目の表面にある半透明の膜です。この結膜が何らかの理由で角膜(黒目)の中心に向けて入り込んでしまう増殖組織を翼状片といいます。血管を伴っているので、本来血管のない黒目が赤く充血しているように見えます。また自覚症状として異物感を訴える人もいます。レンズが歪むのと同じ理屈で、翼状片が進行すると眼球が歪むため乱視が強くなることがあります。
翼状片は比較的高齢者に多くみられる疾患で、原因は特定されていませんが、紫外線が関係しているのではないかと言われています。
治療
翼状片は、結膜の組織が角膜上に増殖したもので、治すとなると手術になります。ただ、悪性の病変ではありませんので、特に症状が気にならなければいけないものでもありません。
しかし、翼状片が進行すると翼状片自体による見えにくさや乱視が進行することでも視力低下を生じ、長期間放置すると手術をしても角膜の混濁や乱視が残ってしまうため、手術のタイミングは重要です。
手術では、翼状片を切除し、再発を抑えるため正常な部分の結膜を縫い付ける処置(結膜弁移植)を行います。翼状片は再発しやすい病気とされていますが、再発の場合はマイトマイシンCという薬剤を薄めて切除部に塗布する場合もあります。
手術自体は20分程度ですが、角膜を削ったり結膜を縫うため、術後の痛みや異物感が強く感じることが多く、充血もしばらく続き、術後数か月は点眼が必要になります。
結膜弛緩症
結膜には、もともと目を上下左右に動かすために適度の緩みがあります。この緩みが過度に進むと、下まぶたに沿って余剰部分が波打つのがわかるようになります。ゴロゴロする異物感があったり、しょぼしょぼするような不快感を覚えたりしますが、強い痛みなどはありません。弛緩結膜が作るひだに涙液が溜まるため涙目になったり、逆にドライアイを引き起こしたりもします。また、弛緩結膜が毛細血管を引っ張ることで結膜下出血の原因となることもあります。
治療
結膜弛緩の根本治療は弛んだ結膜を切除する手術になります。流涙や違和感が強いような場合や結膜下出血を頻繁に繰り返す場合は手術による症状の改善が期待できます。実際の手術は単純に余った下側の結膜のみの切除し縫合する方法(切除法)と、程度が軽い場合は弛んだ結膜をたぐり寄せ電気メスで焼灼凝固して弛みを取る方法(焼灼法)とがあり、所要時間は20分程度です。切除痕を糸で縫合するため術直後はごろごろした異物感や充血が強くしばらく続き、状態が落ち着くには2~3か月程度要することが多いです。